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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
鶏卵の氷のと喰べさせて、一言の礼も聞かず。流れ渡った洋犬でさえ骨一つでちんちんお預はするものを。おまけに横須賀の探偵とかいう人は、茶菓子を無銭でせしめて去んだ。と苦々しげに呟きて、あら寝たや、と夜着引被ぎ、亭主を見送りもせざりける。
得右衛門を始めとして四人の壮佼は、茶碗酒にて元気を養い一杯機嫌で立出でつ。惜しや暗夜なら松明を、点して威勢は好からんなど、語り合いつつ畦伝い、血の痕を踏んで行く程に、雪の下に近づきぬ。金時真先に二の足踏み、「得右衛門もう帰ろうぜ。と声の調子も変になり、進みかねて立止まれば、「これさお主はどうしたものだ。と言い励す得右衛門。綱は上意を承り、「親方、大人気無い、廃止にしましょう。余所なら可いが、雪の下はちと、なあ、おい。と見返れば貞光が、「そうだともそうだとも、もうかれこれ十二時だろう。という後につき季武は、「今しがた霊山の子刻を打った、これから先が妖物の夜世界よ。と一同に逡巡すれば、「ええ、弱虫めら何のこれたかが幽霊だ。腰の無い物なら相撲を取ると人間の方が二本足だけ強身だぜ。と口にはいえど己さえ腰より下は震えけり。金時は頭を掉り、「なに鬼や土蜘蛛なら、糸瓜とも思わねえ。