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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
「今といっては何ともどうも。「じゃ訴えて首にしようか。「それはあんまり御無体な。「ええ! 面倒だ。と立懸れば、「まあ、待ってくれ。と袂を取るを、「乞食め、動くな。と振離され、得三たちまち血相変り、高田の帯際むずと掴みて、じりじりと引戻し、人形の後の切抜戸を、内よりはたと鎖しける。
何をかなしけむ。壁厚ければ、内の物音外へは漏れず。
ややありて戸を開き差出したる得三の顔は、眼据って唇わななき、四辺を屹と見廻して、「八蔵、八蔵、と呼懸けたり。八蔵は入来りぬ。得三は声を潜め、「八、ちょっとここへ来い。「へい、何、何事でございます。と人形の袖を潜って密室の戸口に到れば、得三は振返って後を指し、「これを。……八蔵は覗き込みて反り返り「ひゃっ、高田様が自殺をしたッ。と叫ぶを、「叱! 声高しと押止めて、眼を見合わせ少時無言、この時一番鶏の声あり。
得三は片頬に物凄き笑を含みて、「八蔵。という顔を下より見上げて、「へい。「お前にもそう見えるかい。「何、何、何が。「いやさ。高田の死骸は自殺と見えるか。「へい。自分で短刀の柄を握ってそして自分の喉を突いてれば誰が見ても全く自殺。