轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

16

『深夜の市長』といえば、深夜のT市に蠢いている人たちから、生き神さまのように尊敬されている徳望の主ではないか。それが事もあろうに悪魔とは……。

「そうですわ。あんな悪魔がのさばっている間は、このT市は救われませんわ」

「なぜそんな事を云うのだい君は……」

「早い話がこの千代子さんをごらんなさい」と連れの夕刊売り少女を指し、「こんな売れない場所に立って夕刊を売らなきゃならないのも、あの大悪魔のためです!」

「もう、よしてよ、町子さん!」

連れの夕刊売りの少女はオロオロ声で、町子と呼ばれた水兵服の娘に縋りついた。

実は僕はこれから丸の内十三号館に輪太郎の幻の高塔を探検に行こうと思い先を急いでいたのだが、これはまたひょんなことになった。この町子という大福売りの娘は「深夜の市長」を何故悪魔と呼ぶのだろう?

16

深夜のT市に棲息する夥しい人々から、まるで生き神様のように敬愛されている「深夜の市長」のことを、呼びようもあろうに大悪魔と罵って悔いない人間があろうとは、全く意外中の意外であった。僕は大福餅を売る水兵服の少女町子の顔を暫くは呆然と見詰めるばかりであった。がやがて嵐のような好奇心に駈られて、町子に問いたださずにはいられなかった。