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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

「それがいけないんです。愚かな犯罪者は、夜暗い町を選んで、さもさも泥棒みたいにコソコソ歩くものだから、すぐ様やられてしまうんです。真昼間大手を振って歩いてごらんなさい。人相書を知っている者でも、まさかあいつがと見逃してしまいます。これが骨ですよ。ですから、僕なんか、奇蹟の場所へ人を案内するのにも、出来る丈け真昼間を選んでいるのです。サア行きましょう。ちゃんと車が待っているのですから」

とせき立てるので、愛之助もついその気になったのだ。

宿を出て、まぶしい四月の太陽の下を、二三丁も歩くと、そこの大通りに、一台の立派な自動車が待っていた。その運転手も怪青年の一味のものらしく、彼等は目を見交わして、合図をして、肯き合った。

やがて、車は愛之助と怪青年を乗せて走り出した。

「少しうっとうしいですが、目かくしをして頂かなければなりません。非常に秘密な場所だものですから、仮令御得意様にでも、その所在を知られたくないのです。これは私共の規則ですから、是非承知して頂き度いのです」

少し走ると青年が妙なことを云い出したが、どうでもなれと捨鉢の愛之助は無論この申出を承諾した。