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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
ところが昨日、問合わせてあった名古屋の実家から、まだ帰らぬという返事を受けとる、その今朝、例の新聞記事です。どうも飛んだことが起ったのではないかと非常に心を痛めている次第です。と申しますのは、新聞に出ている、女の指にはまっているという指環ですが、あれがその、今云う青木の妻の芳江のものとそっくりなのです。で、若しやと思いまして、私その指環をよく見覚えているものですから、実物を一度拝見したくて、御伺いした訳なんですが」
「そうでしたか。よくお訪ね下さいました。早速御目にかけましょう」
耳よりな話に、警部は已に犯罪の手掛りを掴んだかの如く喜んで、自らそれを保管してある一室へ行って、一巡査に瓶詰めの片腕を持たせて帰って来た。
覆いの白布をのけると、瓶の中に、防腐液につけた、不気味なものが指を上にして、生えた様に立っていた。
「ごらんなさい。この指環です」
品川は机の上に置かれた瓶に顔をよせて、暫く眺めていたが、防腐液が濁っていて、ハッキリ分らぬので、警部に断って、瓶を窓際に持って行き、蓋を取って、暫くの間綿密に検べていたが、見極めがついたのか、元の席に戻ると、やや蒼ざめた顔をして、