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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
彼等は爆薬よりも、電気力よりも、もっともっと戦慄すべき現実の武器を以て、全世界に悪魔の国を打ち建てんとし、しかもそれが必ずしも空論ではなかったのだから。
併し、事は未然に発覚し、今や白蝙蝠一味のものは、刑場の露と消えた。彼等の死と共に、彼等の本拠、彼等の製造工場は、跡方もなく焼きはらわれ、百年に一度、千年に一度の大陰謀も、遂に萠芽にして刈られてしまった。人類の為慶賀此上もなきことである」
大体この様な意味であった。
これを伝聞した人々は強情我慢の大河原首相をして、この言を為さしめた、大陰謀の内容に想到し、転肌の寒きを覚えたのである。が、それは後の御話。
さて、前章では、明智小五郎に尾行された偽品川が、窮余の一策として、本物の品川の住居に逃げ込み、その一室に顔を並べた寸分違わぬ両人が、我こそ品川四郎であると、互に主張して下らず、流石の名探偵も、為すべき術を知らなかったことを記したが、やがて段々取調べて行く内に偽品川の方は、はげそうになる化けの皮に、その場に居たたまらず、隙を見てこっそり逃出してしまった。
夢中になって、本物の品川を訊問していた明智小五郎が、ふと気がつくと、もう一人の品川の姿が見えぬ。