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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

「双生児でないとすると、全くの他人で、双生児以上によく似た二人の人間が、この世に存在し得るかどうかという問題になるね」

「だが、僕にはそんなことは信じられん。同じ指紋が二つないと同様、同じ人間が二人ある筈がない」

品川四郎はあくまで実際家である。

「だって君、いくら信じられんと云っても、動かし難い証拠があるんだから仕方がないよ。スリの一件と今の活動写真だ。それに僕はそういうことが全然あり得ないとは思わない。夢みたいな話だがね、僕の書生時代にこんな経験があるんだよ」

渇望していた怪奇に今こそありついた青木愛之助は、もう有頂天であった。

「大学の近くの若竹亭ね(寄席の)学生時代僕はあすこへちょいちょい行ったものだが、行く度に必ず見かける一人の紳士があった。いつも極った隅っこの方にキチンと坐って聴いている。連れはなく独りぽっちだ。その紳士の顔なり姿なりが、…………、………………………………写真にソックリなんだ。髪の刈り方から、口髭の具合、いくらか頬のこけたところまで、全く生写しなんだ。で、僕はよく思ったことだがね、…………生活なんて、まるで我々の窺い知ることの出来ないものだが、案外日本でもスチブンソンの『自殺倶楽部』