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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
わしの方法は、その生れつきの人間の顔をまるで違ったものに改造する。本当の意味の変装術だ。
男でも女でもよい。非常に醜い生れつきのものは、一生涯恥かしい思いをせにゃならぬ。恋には破れ、人にはさげすまれ、遂には世を呪うことになる。それを救う方法としては、これまでは、ただ様々の化粧法があったばかりだ。化粧とはつまり塗り隠すことで、到底生地から美しくなるものではない。眼は大きくならず、鼻は高くならず、口は小さくならぬのだ。ところが、わしの改造術は、この不可能事を為しとげた。つまりわしの方法こそ本当の意味の化粧術だ」
大川狂博士の演説はこんな風に始まった。
人間の容貌の基調を為すものは、骨格と肉附である。容貌を変改する為には、先ず骨格からして改めて行かなくては嘘だ。骨を継ぎ、骨を削る、今日の外科医学で、それは不可能なことではない。分り易い例で云えば、歯根膜炎の手術、蓄膿症の手術の如き、日常茶飯事の様に骨を削ることを実行しているではないか。ただ容貌を変える丈けの為に、骨を削り骨を継ぐ様な大胆な外科医がないまでのことだ。それを大川博士はやってのけたのだ。
肉附を変えることは一層容易である。