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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

火薬の方は、水びたしで、まる切り駄目になっているのを知らないのかね」

明智があざ笑った。彼は先にこの穴蔵を逃げ出す以前、この危険物に気づいて、ちゃんと処理して置いたのだ。

「ホラ見給え。口火の火の色が段々あやしくなって来たぜ。オヤ、いやに煙が出るじゃないか。ジューッと云ったぜ。見給えもう火は消えてしまった」

賊は紫色にふくれ上って、じだんだを踏んだ。

「この悪魔の巣窟を爆発させるというのは、いい思いつきだ。実際こんないまわしい場所は、木葉微塵に破壊してしまうに越したことはないよ。だが今はまあ思い止まるがいい。人間まで捲きぞえを食っては耐らないからね」

か様にして、白蝙蝠の一味は悉々く逮捕せられた。狂博士の助手を勤めていた二青年も例外ではない。

全く気違いになった大川博士は、悪魔牢獄病院から、精神病院の檻の中へと移された。

賊の巣窟は「人間改造術」の器具薬品と共に、さる夜火を失して、灰燼に帰した。悪魔の陰謀は跡方もなく亡びてしまったのだ。

で、この一篇の物語は、何の証拠もない、荒唐無稽の夢を語るものと云われても、一言もないのだ。

容貌を自由自在に変える術。