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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
愛之助不思議なポン引紳士にめぐり合うこと
僕は雑誌に写真が出るから、先方は僕よりも、ずっと気づき易い立場だからね。しかも、そいつが悪人なんだ。悪人が自分と寸分違わぬ男を発見した時、どんなことを、どんな恐ろしいことを考えるか。君、これが分るかね。そいつは、若し僕に妻があれば、その妻をだって、盗むことが出来るんだよ」
二人は車を呼ぶことも忘れて、夢中に喋りながら、場末の町を行先も定めず歩き続けた。
品川四郎はそうして次から次へと、不気味な場合を考え出しては喋っている内に、「二人の品川四郎」という不可説なる怪奇が、徐々に、非常に恐ろしい事に思われ出したらしく、彼の目が怪談を聞いている人の様に、不思議な光を放って来るのであった。
愛之助不思議なポン引紳士にめぐり合うこと
青木も品川も、この奇妙な事件にすっかり惹きつけられてしまった。前にも云った通り、猟奇者青木は、猟奇倶楽部なんかでは経験の出来ない生々しい怪奇であったが故に。又実際家品川は、それが現実の不可思議であり、しかも直接彼自身の問題であったが故に。
彼等は出来るならば、そのもう一人の品川四郎を探し出したいと思った。だがそれは迚も不可能な事だ。