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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
「そして、あいつが、やっぱり外の連中と同じことをやったのだね」
品川はチョビ髭の生えた大人の顔を、うぶな子供の様に真赤にして、どもりどもり云った。
何ということだ。彼と寸分違わぬ男が、閨房の遊戯を、彼の親しい友達に、すっかり見られてしまったのだ。彼と寸分違わぬ男がだ。品川が赤くなったのも無理ではない。
「そうだよ。しかもそれが並々の遊戯ではないのだ」
青木は意地悪く相手の顔をジロジロ眺めながら、
「君に君自身の醜態を隙見する勇気があるかね。若しあれば、今夜それが出来るのだが」
青木は実は、これが云い度くて、態々ここへ出向いて来たのだ。意地悪ではない。猟奇者青木は、二人の品川四郎のこのいとも奇怪なる対面を想像した丈けでも、ウズウズと生唾が湧く程、食慾をそそられたからである。
「今夜、そいつが、その家へ来るのか」
品川は当事者である。青木の様に呑気ではいられない。彼は唇を嘗め嘗め、嗄れた声で云った。
「そうだよ。僕はそいつの帰るのを待ち兼ねて、お神に尋ねた。そいつの所も名も無論分らない。分らない様な営業方針になっているからだ。で、いつ頃から来始めたのかと聞くと、今月の十五日が最初で、昨夜が二度目、今夜も又来る約束になっているという話なのだ。