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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

処が東大国史科の平泉助教授の如きは本気でこの故知を現代に適用しようとしている)。――だから彼の人格自律の自由とは、実はドイツ民族の国際政治的自由の代理概念なのであり、自我が存在から受ける障碍というのはナポレオンの野砲の如きものを意味するのだろう。而も之が人格の自由として示されている処に、フィヒテのフィヒテらしさがあるわけである。

フィヒテに続くドイツ観念論体系はシェリングだと云われている。後期(自由問題の時期)のシェリングは寧ろヘーゲルの批判者として現われているから、ヘーゲルの次に取り上げる方がいいように見えるが、問題の順序から云って先に引つけなければならぬ。シェリングに於ける自由は、その「人間的自由の本質に就いて」に於ては、もはや個性の自由ではなく又なお更政治の自由でもない。人格の倫理的自由が、ここでは人間の宗教的自由にまで、押し進められているのである。自由なるものの興味は、他からの強制を否定する自己原因的な自律の内に存するよりも寧ろ、完全に無原因なアービトラリネスの内に、即ち悪をさえなし得る自由の内に、見出される。自由は原罪と贖罪との結合となる。