轻松读懂日语经典作品
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「心細いな。先様は旗本だぜ。あの玄関構えじゃ水野十郎左衛門ぐらいの格式だろう。そこへ持って行って御家人だの足軽だのって、却って藪蛇になりはしないかい?」
「足軽だって士だろう? 寺岡平右衛門を見給え。兎に角士なら宜いんだ」
と新太郎君も昔のことはアヤフヤで、芝居の人物を唯一の典拠にしている。
寛一君は尚お少時話し込んでから、
「それじゃ勝負は先ず五分々々だね。明日の朝が楽みだ」
と言って立ち上った。
「君が又その椅子に坐るまでには定っているよ」
「それは然うさ」
「僕も何方かになっているよ」
「え?」
「事によるとこれがお別れかも知れないよ」
「おい、君、変なことは言いっこなしにしようじゃないか?」
「瞞しっこもなしにしたいものだね」
「え?」
「さよなら。お達者で」
「君、君、何が気に障ったんだい?」
「君は誠意がない」
「何故?」
「僕は今まで君に釣られて働いて来たんだ。貰ってやると言うから、真正に貰って貰えると思っていたんだ。九分九厘大丈夫だと云うから、その積りで八九十と二月半、一日も休まなかったんだ」
「殆んど大丈夫じゃないか? 秀子さんの心持も定っているし、松浦さん夫婦も賛成、お父さんも伯父さんもついている」