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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

「その士族平民の件で宮地さんが又一思案してくれたのさ。あの人は智恵があるよ。そうして消息通だ。探偵だね。ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーは自分のこともあの人に訊く方が早いと言っていたが、実際真正だよ。君、君はお互の先祖に御家人のあったことを知っているかい?」

「さあ。桃の湯かい?」

「然うさ。感心に知っているね。彼処を起用しようってのさ」

「駄目だよ、湯屋の親爺なんか」

「いや、先祖を利用するのさ」

と新太郎君は宮地さんから聞いた一部始終を話した。

「成程。考えたね」

「何うだろう?」

「さあ。本所へ調べに行くと困るぜ。彼処は借金だらけだって評判だよ」

「名を出すんじゃない。唯、母方に御家人があったと言う丈けさ」

「御家人って士だろうね?」

と現代青年の寛一君はこの辺明確な観念を持っていない。

「士だろうさ。そら、鈴木主水さ」

「鈴木主水? 妙なものを引っ張って来たね」

「君は知らないかい? そら、『鈴木主水という士は』って」

「……春は花咲く青山辺のか? 成程、あれは士と断ってあるが、御家人だったかい?」

「その青山から聯想したんだよ。傘を張っていたか何うか知らないが、貧乏だったことは分っている」