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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

って、彼方の店主は話が分っていらあ」

「羨ましいなあ」

「この節は日本でも多少伯父さんの応用が利くんだろう。それでなくて銀行会社の連中があんなに大勢来る筈はない」

「しかし僕は何て因果な人間だろう。その伯父さんの店に勤めてるんだからね」

「忠告係、到頭弱音を吹き始めたね」

「△△△だからさ。今日は仕事が手につかない」

「おい」

と新太郎君は一段声を低めた。

「何だい?」

「今日はガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーが横浜へ行くよ」

「然うかい?」

「抜けようか?」

「さあ」

「僕は未だ一遍も行かないんだから察してくれ」

「それは心柄で仕方がない」

「明日が利かないんだから、行こうよ、是非今日、栗林さんに巧く頼んで置く」

「しかし危険だな」

「大丈夫だよ」

「君丈け行き給え。僕は明日行く」

「何故?」

「洋行がフイになると大変だもの」

「何あに、あれはもう動かない。組合へ発表して旅行免状まで願出ているんだもの」

「まあ/\、兎に角この際だ。自重しよう」

と寛一君は考え直したようだったが、結局二人とも抜け出した。

その日、○軍は二年越し△軍に負けていたのを見事雪辱した。応援団は狂喜して文字通り手の舞い足の踏むところを知らない。