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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

「そんなに虚勢を張るには及ばないが、少し見識ってことを考え給え。何のことはない。君の方から松浦家へ養子に行くような恰好になってしまうぜ」

と寛一君は何処までも忠告係だ。

折から秋酣の運動季節だった。土曜日曜には必ず野球の大仕合がある。各大学のリーグ戦は最早学生の専有物でない。忙しい社会人が仕事の繰り合せをつけて見物に行く。去年まで応援団に牛耳っていた新太郎君と寛一君は○○大学の成績が益※(二の字点、1-2-22)好いにつれて、ソロ/\日曜丈けでは堪能出来なくなった。但し二人は意味が違う。寛一君は日曜にも行くが土曜にも行きたい。新太郎君は毎日曜を秀子さんに取られるから土曜に行きたい。

「好い天気だなあ」

「惜しいなあ。折角の招待券が無駄になってしまう」

と土曜日には朝から溜息をつく。日曜は日曜として仕事のある上土曜に行きたいということには双方一致している。

「新太郎君、一寸」

と○△第一回戦の朝、寛一君が思い余った。

「何だい?」

「アメリカでは野球を見に行きたい時に伯父さんが死んで葬式がありますからと言って抜け出すそうだね?」

「然うさ。『宜しい。応援旗を持って行け』