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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「しかし今月一杯じゃ未だ海のものとも山のものともつきそうにない」
「そんな気の長いことを言っていないで僕の策を容れ給え」
「未だ早いよ」
「いや、今日ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーとマザーが見て行ったのは却って好都合だ」
「何うかね。僕はあれで悉皆悲観してしまった」
「僕がそれとなく当って見ようか? 今夜寄れば何うせ訊かれる。その打ち合せも能くして置こうぜ」
「然うさなあ。僕は頭の中が掻き廻したようになってしまって何うして宜いか分らない」
「マザーはあの新太郎と一緒に游いでいた娘は何ものですかと訊くに相違ない。その返辞一つで君の運命が定らあ。おい、活殺自在だよ」
「ゆするなよ。おっと、先刻のを忘れていた」
と新太郎君は懐中から例の紙包を取り出して開けて見て、
「十枚らしい。話せるなあ」
と立ち止まって勘定した。
「この上苦労をかけると罰が当るよ」
「実際だ」
「何うだね? 当って砕けようじゃないか? 僕は九分九厘まで大丈夫だと思う。何うせ片付ける二番娘だ。家庭も相応、教育も申分ない。悉皆条件が揃っているじゃないか?」
「それは此方から見れば然うだけれど、先方に何んな都合があるかも知れない」