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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

清吉、御苦労」

と新太郎君は動き出した。

湘南の海岸も季節前は生地のまゝで、一帯の漁村続きに過ぎない。逗子の町は未だひっそりしていた。新太郎君は渚伝いに散歩をしても宿で小説を読んでいても、常に太平洋を独占するような心持がした。淋しかろうとは素より予期していたことだから苦情もなかったが、退屈を免れない。その中に寛一君が約束通り土曜から日曜へかけて遊びに来た。この二人は従兄弟同士で似たり寄ったりの現代青年、成績も等しく抜群ではなかったから○○大学を恨みっこなしに中どころから少し下で卒業した。六年間何でも一緒で極く仲が好い。現に去年もここへ二人で来て最後の暑中休暇を泳ぎ暮した。寛一君は新太郎君の家の店に勤めていても遠慮はない。新太郎君も今更若旦那風を吹かせる程の馬鹿でない。

「何うだい? ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーの御機嫌は?」

と新太郎君は気が咎めると見えて、間もなく父親を問題にした。英語で親父のことをガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーというと聞いた時、如何にも適称だと思って、以来ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーにしている。