轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页
」
――帆刈が友人と三人で、奥秩父に旅行した時のことだ。秩父の山はさほど高くはないが、奥が深い。どうしたことか道に迷って、大木の根本で一夜を明かすことになった。毒虫や獣を避けるために、火を焚いて、三人で元気をつけ合った。夜が更けるにつれて、寒さが増してきた。ますます火を焚いた。ところが三人ともしきりに睡気を催す。うっかりしていると、眠りこけてしまいそうだ。我慢していたが、とうとう、三人ともうとうと眠ってしまったらしい。そしてふしぎに、一度に眼を覚した。見ると、誰か怪しい者が、焚火にあたっている。髪がぼうぼうと伸び乱れ、顔半分は髭にかくれ、ぼろぼろの布を身にまとい、手足の爪は長く、眼ばかりきらきら光っている。それが、いつまでも黙って火にあたっている。三人も黙っていた。少し馴れてくると、三人は焚火に枯枝をなげこんで、火勢を大きくした。虚勢を張って煙草を吸った。怪しい男はまだ黙っている。どうやら、山男らしく思われる。山に住んでる人ですかと、一人が決心して尋ねた。山男はただ頷いた。いろいろ不自由でしょうねと、尋ねてみた。山男は頭を振った。それでも何か不自由な物はありませんかと、尋ねてみた。