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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

全市が親知らず

有らん限りの智恵と工夫とを表現した。その結果がこの通りだとすると、日本人の思想もあらかたこんなものではあるまいかと考えられる。誠にハヤ恐れ入った光景である。

千変万化なバラック表現の底を流るる智恵と工夫の浅墓さ、そこに流るる一種の悲哀は、直ちに日本人のアタマの悲哀を裏書するものではあるまいか。

こうした見かけばかり恐ろしく、派手な内容の、薄ッペラなバラック町の気分に朝から晩まで涵っている新しい東京人の気持ちが、そうした影響を受けずにいられぬ事は誰しも想像が付く。しかし東京人の気分に影響するものは、単にバラックばかりではない。東京市内の交通機関、わけても電車と自動車がどんな風に人の神経をゆすぶっているかということは、「東京の裡面」を作る「東京人のあたま」を理解する上に就いて、バラックと同様の価値があるのである。

全市が親知らず

東京市当局の言明を聞いて見ると、電車は目下が極度の増発で、この上殖やせば到る処の停留所に電車の行列が出来るばかり――否、現在でもその傾きがあって困るとの事。こうなると、あとは地下線と高架線よりほかに抜け道がないとは、一般の所謂識者の観察である。