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がいとうからみたしんとうきょうのりめん
街頭から見た新東京の裏面
杉山 萠円
「九州日報」1924(大正13)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页
東京の犯罪地帯
その男は年齢四十歳位、極めて上品な、音なしい風采の男で、ちょっとよさそうであるが、只顔色があまり健康そうでなかったので、彼女は五円の会見料を納めたあと、
「とにかくも一ペン考えさして下さい」
と云って日比谷のバラックに帰った。
ところが驚いた事には、あくる朝になると、媒介所の男がその四十恰好の青い男を連れて彼女の居る日比谷バラックに押しかけて来た。青い男は一寸した羽織を着て袴まで穿いている。
「この辺のところでどうです。こんないい方は又とありませんよ。私の方では成立料が欲しいから云うのではありません。貴女のおためを思って云うのです。略式ですが結婚式の調度も持って来ています。ここですぐに式をお挙げになってはどうですか。あとの手続や何かはすっかりこちらでやって上げます。どうです。善は急げです。今のところ、貴女の御注文にはまるお方はこの方しかありません」
とか何とか媒介所の男が無茶苦茶に勧めた。
………連載一回分(二千字前後)欠………
東京の犯罪地帯
東京市中でほかの犯罪はみんな殖えているのに、殺人傷害だの、強盗だのいう荒っぽいところが枕を並べて減少しているのも面白い。