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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

一寸坊揃の女車掌

否、現在でもその必要があり過ぎる位あるのであるが、遺憾ながら今の東京の道幅では不可能である。結局、小さな停留場を廃して、朝から晩まで急行にせねば追付かぬようになりそうな傾向が見える。そうなったら、今の乗り合い自動車は勿論の事、人力車が幅を利かし始めるような奇現象を呈するかも知らぬ。否、現在でも急行時間には人力車が繁昌するそうである。

福岡あたりの電車は、小さな停留場を無闇に殖やして、お客を拾うことに腐心しているようであるが、東京では正反対だから面白い。

一寸坊揃の女車掌

東京は広くなるばかり。

人間は殖えるばかり。

電車はこむばかり。

この三ツの「ばかり」のために東京市民がどれ位神経過敏になるかは、実際に乗って見た人でなければわからぬ。

前に云った電車の昇降口の生存競争、優勝劣敗から来る個人主義は車の中までも押し及ぼされて来ることは無論で、時と場合では、福岡あたりでは滅多に見られぬ、釣り皮の奪い合いまで行われるようになっている。

世間は広いもので、たまには老人や女子供に席を立ってやる人もないではないが、ごく珍らしい方で、見付けたが最後、早く腰をかけなければすぐに失敬されてしまう。