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がいとうからみたしんとうきょうのりめん
街頭から見た新東京の裏面
杉山 萠円
「九州日報」1924(大正13)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页
鉄コンクリの悲哀
バラックの海を眺めて復興の力の偉大さに驚く人は、同時にその底を流るる活動力の清新さを感ずる人である。新しい板壁の反射や生々しいペンキの色は、そうした感じを象徴して際涯もなく波打ち続いている。
一度灰燼となった吾が大和民族の中央都市が、かような活力と元気とに依って溌溂と蘇らせられつつあるのを見ると、真に涙ぐましい程の心強さと嬉しさを感じさせられる。
併し又、バラックの眺望は一種の哀愁をも漂わしている。
昔の東京の眺めは何となく奥床しいところがあった。彼の青黒く影絵のように並んだ屋根瓦の一つ一つにも、徳川から明治まで何百年かの歴史の重みが結び付いていた。云い表わし難い情緒が流れていた。
それが今のバラックにはない。その色の安っぽさ、毒々しさを通じて、只生存競争、見かけばかりといったような、さもしい浅墓な気持ちしか感ぜられぬ。
しかしこれ等の感想のどれが中っているかは、まだ容易に断定出来ない。
今度は山を降って下町をあるきまわる。
鉄コンクリの悲哀
下町に来てまっ先に眼に付くものは、丸の内に並んだ大建築である。そこに暴露された鉄筋コンクリートの悲哀である。