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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

建築交通の巻

しかしこのような冷酷な商売をする人非人が、果して約束通り残らず回向院へ納めたかどうか怪しいものである。これはその親に対するせめてもの気休めで、実は手軽く水に流したと考え得る理由が充分にある。

この種の例は深く立ち入ったらどれ位あるかわからぬが、ここでは「江戸ッ子減少」の原因を明らかにするだけに止めておく。そうした都会の真ん中を流るる河は、いつもこうした呪わしい、忌まわしい使命を持っていることを説明するに止めておく。

昨年の変災の折、あれだけの生霊を黒焦にした被服廠――。

その傍を流れて、あれ程の死骸を漂わした隅田川――。

その岸に立つ回向院――。

それ等はかほどまでに「江戸」を呪った……そうしてこの後も呪っている、或る冷たいたましいのあらわれに他ならないのである。

……墨堤の桜……ボート競漕……川開きの花火……両国の角力や菊……扨は又、歌沢の心意気や浮世絵に残る網舟……遊山船、待乳山の雪見船、吉原通いの猪牙船……群れ飛ぶ都鳥……。

両国橋の上に立って、そうした行楽気分を思い得る人は幸福である。

建築交通の巻

現代式の新東京人

「江戸ッ子」はこうして亡びかけている。