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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

何も無い処でも一間置き位に、深さ数寸、さし渡し一尺位の穴がベタ一面にあいている。

そのために東京市中をテクる腰弁の群れは、殆ど全部が雨天の時に長靴をはくようになった。当り前のオーバーシューズではうっかりすると沈んでしまうし、自分のハネや自動車の泥煙を防ぎ切れないからである。

晴天の日でも自動車は出来るだけ徐行する。うっかり急ぐと、乗っているものは腰かけからハネ落されるからである。過日のしけの時などは、下水を溢れて滝のように流るる汚水の中に、押し合いヘシ合って電車に乗る人々、自動車のタイヤの両側に破れむしろを袴のように垂らして、その中を押しわけて行く自動車の笛、雨の音、叫び声なぞいう修羅場が東京市中到る処に展開された。行って、実際に見た上でなければ、とても想像は及ばぬ。

こんな悪道路が東京市中の大部分を占めているのを打っちゃって、アスファルトや木煉瓦の上等の道路を極めて局部的に作って行く必要がどこにあるであろうか。

昨年の震災直後二三日の中に、東京市中の道路という道路は皆、人と車馬の混雑で穴だらけになってしまった。市では早速俄雇いの人夫を駆り集めて、九月の十日前後から東京市中にバラ撒いて、ドシドシ補修工事を開始した。