轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とおのものがたり
遠野物語
柳田 国男
「遠野物語」柳田國男、1910(明治43)年6月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,063 字 · 79 页
一一
一一 この女というは母一人子一人の家なりしに、嫁と姑との仲悪しくなり、嫁はしばしば親里へ行きて帰り来ざることあり。その日は嫁は家にありて打ち臥しておりしに、昼のころになり突然と倅のいうには、ガガはとても生かしては置かれぬ、今日はきっと殺すべしとて、大なる草苅鎌を取り出し、ごしごしと磨ぎ始めたり。そのありさまさらに戯言とも見えざれば、母はさまざまに事を分けて詫びたれども少しも聴かず。嫁も起き出でて泣きながら諫めたれど、露従う色もなく、やがて母が遁れ出でんとする様子あるを見て、前後の戸口をことごとく鎖したり。便用に行きたしといえば、おのれみずから外より便器を持ち来たりてこれへせよという。夕方にもなりしかば母もついにあきらめて、大なる囲炉裡の側にうずくまりただ泣きていたり。倅はよくよく磨ぎたる大鎌を手にして近より来たり、まず左の肩口を目がけて薙ぐようにすれば、鎌の刃先炉の上の火棚に引っかかりてよく斬れず。その時に母は深山の奥にて弥之助が聞きつけしようなる叫び声を立てたり。二度目には右の肩より切り下げたるが、これにてもなお死絶えずしてあるところへ、里人ら驚きて馳せつけ倅を取り抑え直に警察官を呼びて渡したり。