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とおのものがたり

遠野物語

柳田 国男

「遠野物語」柳田國男、1910(明治43)年6月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,063 字 · 79 页

青空文庫

一〇九

一一〇

それを取り出さねば近き中に死人ありとか家が焼くるとかいうなり。帰りて掘りて見るに必ずあり。かかる例は指を屈するに勝えず。

一〇九 盆のころには雨風祭とて藁にて人よりも大なる人形を作り、道の岐に送り行きて立つ。紙にて顔を描き瓜にて陰陽の形を作り添えなどす。虫祭の藁人形にはかかることはなくその形も小さし。雨風祭の折は一部落の中にて頭屋を択び定め、里人集まりて酒を飲みてのち、一同笛太鼓にてこれを道の辻まで送り行くなり。笛の中には桐の木にて作りたるホラなどあり。これを高く吹く。さてその折の歌は「二百十日の雨風まつるよ、どちの方さ祭る、北の方さ祭る」という。

○『東国輿地勝覧』によれば韓国にても壇を必ず城の北方に作ること見ゆ。ともに玄武神の信仰より来たれるなるべし。

一一〇 ゴンゲサマというは、神楽舞の組ごとに一つずつ備われる木彫の像にして、獅子頭とよく似て少しく異なれり。甚だ御利生のあるものなり。新張の八幡社の神楽組のゴンゲサマと、土淵村字五日市の神楽組のゴンゲサマと、かつて途中にて争いをなせしことあり。新張のゴンゲサマ負けて片耳を失いたりとて今もなし。毎年村々を舞いてあるく故、これを見知らぬ者なし。