轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
「マア、美しい」
妙子が第一番に感嘆の叫び声を上げた。
「すてきだ」「見事なものだ」「すばらしいダイヤだ」と誰も彼も讃美を惜しまなかった。
だが、流石専門家の玉村氏は、石に見入ったまま、容易に口を開こうとはせぬ。
「如何です。玉村さん、一万円は買いかぶりではありますまいか」
「買いかぶりどころか、非常な掘出しものです。その倍以上の値打ちは確かに……」
と云いかけて、玉村氏はふと口をつぐんだ。指でつまみ上げていた石が、ポロリと卓上に落ちた。彼は何かしら非常な驚きにうたれた様子だ。
「玉村さん、どうなすった。あなたの顔は真青ですよ」
牛原氏がびっくりして尋ねた。
「私は、この石を知っています。確かに見覚えがあります。あなたは何者から、これをお買いになりました」
「アメリカの商人です。今は本国へ帰っている男です」
「その人は、本国から持って来たのではありますまいね。日本で手に入れたものでしょうね」
「サア、本人は本国から持って来た様に云ってましたが」
「それは嘘です。裏に肉眼で見えない程の瑕があります。同じ瑕の石が二つある筈がありません。これは確かに盗んだものです」
「エ、なんですって? これが贓品だとおっしゃるのですか」