轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
恐ろしき遺書
三人の男は、力を合わせて、煉瓦の抜き取りにかかった。一枚一枚、煉瓦を取り去るにつれて、ポッカリと、地獄の入口の様な、真暗な穴が拡がって行く。
間もなく、二尺程の空虚が出来た。
「それを貸しなさい。一つ中を覗いて見よう」
玉村氏は一郎のライターを受取って、それをかざしながら、中へ首をさし入れて、闇の洞穴を覗いた。
覗いたかと思うと、彼はアッと叫んで、大急ぎで首を引いた。何とも云えぬ恐怖の表情、土気色の顔、鼻の頭に浮んだ玉の油汗、子供等は嘗つて、この様に恐ろしい父親の顔を見たことがなかった。
一郎も二郎も、それにおびえて、思わずあとじさりした。
妙子は、余りの怖さに、キャーッと絹を裂く様な、叫声を立てた。
恐ろしき遺書
「何です。何があったのです」
一郎と二郎とが殆ど同時に叫んだ。
「骸骨だ。五十年前に生埋めにされた男の骸骨だ。あいつの云ったことは、嘘ではなかったのだ」
父玉村氏が、あえぎながら云った。
だが、ただ骸骨を見ただけで、あんなに驚き恐れるというのは、何だか妙に思われた。元気な一郎二郎の兄弟は、いきなり壁に突進して、煉瓦の隙間に手をかけると、力を合わせて、壁を引き試みた。