轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
明智が目を開いて、まじまじしていると、それを待構えてでもいた様に、ドアが開いて、一人の女が室内に這入って来た。美しい十八ばかりの娘だ。一寸見なれぬ型のダブダブした黒絹の洋装で、手に銀盆をささげている。盆の上には飲み物と軽い食事の皿が並んでいるのだ。
「お目ざめになりまして?」
娘はソファの前の卓に銀盆を置いて、ニッコリして明智に話しかけた。
「本当に大変でしたわね。でも、どこも御痛みにはなりません?」
無論知らぬ娘だ。この部屋にも見覚えはない。明智は夢みたいな気持で、しばらくボンヤリしていたが、やっと気を取り直して、
「ここは一体どこの御宅なんでしょう。そしてあなたは?」
と尋ねて見た。
「イイエ、御心配なさることはありませんわ。あなたの御危い所を御救い申した人の家とでも思っていて下さいまし。そしてあたしはその家の娘ですの」
「そうでしたか。僕は上野駅で変な自動車に押込まれたことは覚えていますが、すると今迄気を失っていたのでしょうか。それにしても、どうして僕を救って下すったのですか。御主人はどなたですか。そして、ここはやっぱり東京市内なんでしょうね」
「エエ、まあそうですの。