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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

そうして盛装した植民地美人「真岡」に、こちらも同じく鉄道省主催の観光団員としての挨拶と接吻を投げねばならなかった。

真っ直に一、二丁行って左折すると広い坂になって、白い白い銀の葉裏を飜えしているポプラの片側並木の輝きがまず目に映った。近づいて見るとそれらのポプラの葉は普通の円葉でない、楓のような葉であった。裏は毛ばだって白かった。これが馬車の次に珍らしかった。私はその葉の一つ二つを、早速にぎ採っている誰かから貰った。

「独逸種じゃないかな。」と一人がいった。

その前に普請中のなにがし新聞社があった。やっぱり内地ではない何かが感じられた。その隣りが役場で、階上が商業会議所であった。

その階上で歓迎の茶菓を饗せられて、『樺太要覧』という小本と絵葉書とを一同が貰って、また少し上手の新築の小学校へ入った。日は暑かったが、校舎の内部はまだ生々しい木の香がぷんぷんと匂って、何か虔ましい旅愁をさえ味わせられた。

昨日、殿下の御休憩所に当てられた一室をその戸口から拝観すると、広い、素木づくりの極めて質素なものであった。床には黄と緑との花模様のあるリノリュームを張りつめて、上段に正方形の壇があり、壇の上に、これも極めて素朴な卓子と一脚の椅子があるきりだった。