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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

」

「金太郎万歳アい。」

と、またひとしきり舟の中ではざんざめいた。そうして休憩所の前に著いた頃には、もうそろそろ日の光も黄色くり初めていた。風も出て来た。こうして敷香の夏の一日も、雲がまた薄く低迷して、うそ寒く、寒く暮れてしまうのである。私たちはまた一旦上って、中食所であった旅館の一、二へとりどりに鞄や土産物をそろえに急いだ。

それから小半時の後、私たちはまたランチに曳かれて本船へ帰ることになった。敷香の有志やオロチョンギリヤークの土人たちも一同うち交って、その河口の石垣に立って見送った。クルグックの婆さんも女の子マッチョ、ウンノック、ムンムックたちも赤や黄や藍の更紗の冠りで並んでいた。

例の肥ったベェリヴェヤワのママは左右を眺め眺め、さも名残惜しそうに、それでも眼では笑っていたが、舟の出しなに、いきなり大きなスカートを舞わして飛び込んで来た。送ってゆきたい、高麗丸の船室を是非見せてほしいというのであった。イフェミヤも続いて飛び下りた。許嫁の青年も、これは軍隊式に身軽くすぽっと飛んだ。続いてまたセーニャが人々を掻きわけると、両手を後ろに拡げて、いざと身構えした、ちょうどその時、「駄目駄目あぶないあぶない。