轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

チリチリチリン。

である。

私はまた「桐の花」の校正刷に目を移す。船中でもこれのお蔭で随分と陰鬱にもされた。弟の書肆では急いでいる。初版通りで済ませば済むものを、旅先まで昔の幽霊を背負ってあるく自分も自分だなと深い心の底から溜息も出る。それでも、何とか一、二字を生かせば生きるあの頃の真実も目につく。青春は二度とない。見果てぬ夢の香気と色とは今だに連想の林に薄紫の桐の花を靉々と匂わしたくなる。考えるとまだまだ歌い残したものが夥しい。かといって、あの現実と空想との限界もつかなかった年少の恍惚とほの甘い感傷とは、この頃の集には入れられないのだ。正面から歌えもしない。昨今の私の詩歌は燻製の鰊だ。燻製の鰊と桐の花と一緒にされるものか。ほんのかりそめの煩悩であるが今のうちに一寸でも昔に還って見たい。いい機会だ、この機会を取りはずして永遠に寂しい私になりそうな気もする未練である。ないしょで、こっそりと、こつこつ、ほのぼのである。やっぱり夢は見たいのだな。

が、何という鴉だろう。話にきくと、北海の鰊場には三角眼の不良鴉が跳梁しているそうである。子供の頭には乗っかる、突き飛ばす、赤銅色の漁師の腕はすり抜ける、嚊衆の洗濯物はばたつかす。