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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

これらは感心に勉強していたので御褒美だそうである。

牛肉はコチコチだったが、トマトの新鮮で美味なのには驚いた。流石に北海道だと思えた。

これは素敵だ、これは素敵だで、とうとう私一人で食べ尽してしまった。

そうして光りかがやく紅のトマト畠を想像して見た。そうした北国の野菜畠の外光はどんなに爽快だろう。そうした畠の斜面は。

かつて小笠原の父島にいた時、私は朝となく、夕べとなく、この赤いトマトを食べ恍れていたものだ。だが、亜熱帯のそれは何かしら熱気が深く籠っていて、これほどの冷えびえとした舌触りは無かったような気がする。

ただ、あの島の日光は全く金色に照り輝いていた。午後の二時三時になると、まっ白い雲の光までが底深い金色にぎらぎらした、どんな油絵具でも、あの強烈な光は出せなそうに思えた。それに犬の男根のような若芽の護謨苗や、浅緑の三尺バナナや、青くて柔かな豆の葉や、深い緑のトマトの葉、褐色の鳳梨やが、朱紅色の土の上に、まるで印度更紗のように、いやそれよりも生々しい極彩色の絵模様として綴られてあった。その中に鍬打つ人もその朱紅色の土の香を深く嗅いで、悶絶しそうであった、素っ裸で。