轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
「講談倶楽部」1959(昭和34)年1月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 页
もちろん「日済し」のほうを主にしているが、問屋町が近いので、去年から三十日限の「時貸し」もするようになった。
「おれには運が付いてる」平松町へゆく途中で、彼は満足そうに呟いた、「ふしぎなくらい運が付いているぞ」
豊島在にある生家は小百姓で彼は又助といい五人きょうだいの長男だったが、五反歩たらずの土にしがみついて、働きどおしに働きながら、食うだけが精いっぱいという生活に見切りをつけ、十三の年に江戸へ小僧に出た。――下谷御徒町の下総屋という薪炭商に奉公したが、半年ばかりで暇を取り、長者町二丁目の徳田石順の家へ移った。徳田家は下総屋の顧客で、又助は炭や薪を持って出入りするうち、石順の妻女に認められたのであった。
――おれの運は初めから女が持って来てくれた。
彼はいまそう思う。又助は石順の妻女に泣いてみせた。医者になるのが一生の願いである、どんな苦労もいとわないから医者になりたい、そう云って涙をこぼした。
「おれは生れつき、女の心を掴む腕があったんだな」と得石は呟く、「心ばかりではなく躯のことでも、人にはわからない勘どころがわかるんだ」
玄関番になったのが十七歳、それまでにかなり勉強したが、学問のほうはあまり進まなかった。