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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

余は貴君に十分信用せらるるの自信をもってこのあけすけな手紙を書いた。この提案が容れられないときは、余は貴君が余の如くあけすけになり得ない人物だと断定するであろう。終に、溌剌たるエミリーによろしく伝言を頼む”――こういうんだがね、ロシア人らしい長い手紙だ」

ドレゴは吐息と共に、片手で自分の頤をもんだ。

「あなたはお馬鹿さんよ。エミリーによろしく伝言を頼むのところだけを、あたしに読んで聞かせりゃいいじゃないの」

エミリーの目が少し笑った。

「いや、全文読んだ上で、エミリーによろしくと来ないと、感じがでないからね。はっはっはっ……それはいいが、このケノフスキーの提案をどうしたもんだろうね」

「あたしに相談したって、何が分るものかね」

「うん。水戸がいれば早速彼の意見を徴するんだ、生憎水戸がいないから代りに水戸夫人の卵さんに伺ってみた次第だがね」

「あたしを馬鹿になさるのね、ドレゴさん」

エミリーが小さい目でドレゴを睨んでみせた。が、その唇には微笑の影が浮いていた。

「真面目な話なんだよ。僕は困ってしまった。ケノフスキーに恨まれたって何とも思やしないが、しかし何だかこう胸を圧迫されるようなものが残りそうで、いやだね」