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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

昼食のとき、彼は船長の卓子に席を用意されたので、我意を得たという顔をした。

「船長。昨日以来、ワーナー調査団から何か新しい情報は入らなかったですかね」

早速彼は、気にかかっていたことの質問を出した。

「詳しい情報は何も入らないですよ」

と船長はちらりとドレゴの顔へ視線を走らせて応えた。

「すると、昨日から始めた海底調査の結果なんか、何もいって来ませんかね」

「ええ、たいして詳しいことも」

「あれはうまく行っているんでしょうか」

「さあ……」船長は、ちょっと苦しそうな表情になって

「なかなか面倒らしいですね。昨日の午後になって本国へ航空隊の来援を打電していたようですよ」

「航空隊の来援を……。すると何か重大な発見でもあったのかな」

ドレゴ記者は、商売がら、そういう方へ航空隊来援要請を解釈した。それに対して船長は何も応えず、料理へフォークを使うのに熱中しているように見えた。

もしもドレゴが、今船長の口を滑らせたことについて正確な解釈をすることが出来たら、彼は食事も何も放り出して、早速南方へ向かう飛行機の提供方を、船長に交渉したことであろうに。

船長は、或る出来事について沈黙を守っていなければならぬ義務があったのだ。