轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
と遠くへ逃げてしまう。亭主の方も、存外臆病者と見えて、近寄って調べて見ようともしない。
そうしている所へ、折よく、川上から水上署の旗を立てた小型ランチがやって来た。それが近づくのを待って、船頭が声をかけると、「人間の腕」という言葉に、ランチの人々は気色ばんで、船を近寄せ、ドカドカと伝馬船に乗移って来た。
船頭と違って、水上署の人達は、土左衛門なんかに驚きはしない。二人のお巡りさんが、先を争う様にして、バケツに近づき、その指のついた白っぽいものを、最初はそれでも、少々無気味そうに、靴の先でチョイチョイ突いていたが、二人が目を見合せて、「こりゃ変だぞ、」という表情になったかと思うと、その一人が馬鹿に勇敢に、いきなりバケツの中へ手を突込むと、その生腕を、ヒョイと掴み上げた。
掴み上げて二三度、目の前でクルクルと廻していたが、やがて我慢が出来ないというように、突拍子もない笑声が爆発した。
「オイオイ、お前、これを何だと思っているんだ。こんなもので青くなってどうするんだ。よく見ろ。蝋細工じゃないか。人形の腕だよ馬鹿馬鹿しい」
如何にもそれは人騒がせな人形の腕に過ぎなかった。