轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
「又お株を始めやがったな。ヨイショ、これでいいか」
襖の横顔が突然消えて、黒いパンツを穿いた一本の足が、雨戸の隙間を横ざまに閃いたかと思うと、白い大きなものが、ドタリと投出す様に、畳の上に横わった。
今度は女の胸から腰にかけての胴体の一部が、区切られて見える事になった。その胴体が俯伏になって、観念したものの様に、じっと動かないでいた。艶々として恰好のいい身体だ。秋の初めではあるが、こう丸裸にされては耐らないだろうと、痛々しかった。
「ウフフフフフフフフ。気味がいいね。又歌おうか、あれを」
「歌うがいいよ」
すると、突然、嗄声が実に下手な節廻しで、安来節を歌い出した。
相川青年はそれを聞くと、脊筋を虫が這う感じで、ゾーッとしないではいられなかった。文句こそありふれた安来節だけれど、それはこの世のものではない。地獄の底から響いて来る、悪鬼の呪いの歌としか聞えなかった。
(あの声は一体どこから来るのだろう。その辺に坐っている人の様には思えないが)
相川青年は不思議に耐えなかった。雨戸を隔てているばかりではない。その声と彼の耳との間には、何かもっと障害物があるらしい。