轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
ではなかったか。
守はそれと気付くと、刺された顎を押えながら、青くならないではいられなかった。賊が探偵に送った品物というのは、この小函であったのだ。すると、今チクリと刺した蠍のとげには、立所に人命を奪う猛毒が塗られていたのではないか。
「失敬失敬、ちょっと実験をして見たのだよ。成程、この奇抜な注射法は百発百中だわい。秘密函を開けようと熱中すると、自然に顔が函の上へのしかかる。そこへパッと蓋が開くものだから、蠍のとげは必ずその人の顔面へ命中するっていう訳じゃ。うまく考えよったわい」
「じゃ、このとげには、毒が……」
「ハハ……、そんな危いものを、大切な君になぶらするものかね。安心したまえ。毒は院長が完全に洗い取ってくれたのだよ」
「おじさん、人が悪いや。すっかり驚かされてしまった」
「だがね守君、よく考えて見ると、この小函は、ただ毒薬注射器という以外に、何かしら犯人の思想を象徴している様な気がして仕方がないのだよ。ホラ、君が最初谷中で隙見したという、あの変な木箱ね。その中にはどうやら人間が入っていたらしく、そいつが妙な流行歌を歌ったのだね。それから、この間の三河島だ。