轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
つい先程、その辺を掃除した時には、何もなかったのに、忽然として天から降ってでも来たように、出現した怪物に、小使さんはあっけに取られているのだ。
やがて、二人三人とやって来る早い出勤者や、その辺の地階に住んでいる人達が、怪物を遠巻きにして、円陣を作ってしまった。
いくら騒いでも、怪物が微動さえしないので、人々は段々大胆になって、一歩一歩円陣が狭められて行った。
「ナアンダ、拵えもんですぜ。こいつあ」
威勢のいい若者が、いきなり怪物に近寄って、その頭部をコツコツ叩きながら叫んだ。
「科学博物館の動物標本室にこんなのがあったっけ。あいつを盗み出して捨てて行ったんじゃないか」
誰かが、うまい想像説を持出した。
「ともかく、どっかへかたづけてしまう方がいい。邪魔っけで仕様がない」
事務員の一人が命令するように云うと、二人の小使が、オズオズと巨大な虫のそばへ寄って行ったが、まだ手をつける勇気はなく、足を使って、道路の隅の方へ転がそうとした。
「なんだか、べら棒に重うがすぜ」
ウンと力を入れて、一蹴りすると、今まで俯伏せになっていた怪物が、グニャリと仰向きになって、何とも云えぬいやらしい形の腹部を見せたが、それと同時に、実に驚くべき事が起った。