轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
「桜井さん、ちょっと来てごらんなさい。これですよ。この中に私設交換局が出来ていたのですよ」
呼ばれるままに行って見ると、係長は庭の隅の小さな物置小屋の戸を開いて、しきりとその中を指している。
見ればなる程、小屋の屋根から二本の電話線らしいものが、床の上まで垂れている。
「どうした訳です。これが交換局というのは?」
桜井氏にはまだよく呑込めない。
「ホラ、この二本の線を逆にたどってごらんなさい。向うの母屋の屋根の所から、ここへ引込んであるでしょう。本来は、この二本の端がそこに立っている電柱に繋がっていなければならないのです。事実昨日までは繋がっていたのです。ごらんなさい。ちゃんと切断したあとが見えている。
つまりですね。犯人は昨夜の内に、この線を切って、小屋の中へ引込み、そこへ電話器を持って来て接続して置いたのです。そして多分一人の奴が、この小屋につい今しがたまで潜んでいて、あなたが警視庁へ電話をかけるのを待ち構えておったのです。
お分りでしょう。あなたが聞いた交換手の声も、警視庁の交換台の声も、それから、この僕の声も凡てここにいた奴が、この電話器によって、女になったり男になったり、一人三役を勤めたって訳ですよ。