轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
これからどんな恐ろしい事が起るのかと、胸をしめつけられるような気持で、オズオズとそのあとに従った。
殿村夫人は階段を上って、二階の広間へ――今朝大蠍が横わっていたあの広間へ入って行った。
「みなさん、赤蠍は決して約束を忘れませんでした。ごらんなさい、あれ、あれ、あの天井の赤いものをごらんなさい」
殿村夫人は三笠探偵に掴まれていない方の手で、広間の格天井の真中を指さしながら、さも嬉し相な、気違いみたいな笑顔で、一同を見廻すのであった。
人々はそれを見た。その音を聞いた。
豪奢な白木の格天井の真中に、方二尺程のいびつな円形を作って、真赤な液体がベットリと滲み渡り、その中程と一方の隅との二ヶ所から、雨垂れの様に、赤い雫が、ポトリ、ポトリと、青畳の上に滴って、畳の上にも、小さな赤い池が出来ていた。ポトリ、ポトリ、……云うまでもなく血だ。天井裏で何者かが殺害されて、その血潮が滴っているのだ。
誰も物を云うものがなかった。余りの恐怖、余りの悲痛が、人々を異様に押し黙らせてしまったのだ。桜井夫人がこの場に居合わせなくて仕合せであった。彼女は気味が悪いからというので、女中達と一緒に階下に残っていたのだ。