轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
又、どこから忍び込んだのであろう。イヤ、そんな事はあり得ない筈だ。三笠探偵は赤蠍の部下の者共をすっかり捕えてしまったと云うではないか。その網の目を逃れて、何奴がこの天井裏へ忍び込んで来たのであろう。
人々は臆病な耳をすます様にして、じっと天井の血痕を見つめていた。その血痕のある板を通して、屋根裏の暗闇を見つめていた。そこに何かしら黒い怪物が蠢いているに違いないのだ。そいつの呼吸の音が、幽に聞えて来る様にさえ幻想された。
「ホホホホホ、みなさんは、あの天井裏に誰かが潜んでいて、品子さんを殺したのだと思い込んでいらっしゃるのでしょう。そして、三笠さんは、そのもう一人の曲者を捕えてやろうと、目を光らせていらっしゃるのでしょう。ホホホホホ、それは無駄ですわ。あすこにはだあれもいやあしないんですもの」
そんなべら棒な話があるものか、誰もいないのに、人間一人殺されて、あの夥しい血潮が流れるなんて、いくら魔法使の赤蠍でも、そんな真似が出来そうな筈はない。
「みなさんは、人間が人間を殺したんだと思っていらっしゃるのでしょう。ところが、殺されたのは確かに品子さんですけれど、殺した方は人間じゃないのですよ、ホホホホホ、一挺の大きな大きな肉斬り庖丁なんです。