轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
「サア、愈々穴蔵におさらばだ。わしが先に昇って様子を見るから、君はあとから来給え」
繩梯子と云っても、三笠氏のは普通の梯子型ではなくて、一尺置き程に、金属の環を結びつけて足がかりとした、一本の紐に過ぎないのだから、昇るのにもコツがあって、なかなかむずかしいのだが、老探偵は一匹の猿の様に、スルスルと、見事に昇って行った。
上から合図があったので、守も真似をして、やっとの思いでよじ昇ったが、見ると、探偵は書斎のドアを烈しく叩いている。曲者が外から鍵をかけて立去ったのだ。
暫く叩き続けていると、三笠氏の助手の拳闘選手みたいな男が、ドアを開いてくれたが、老主人を一目見て、頓狂な声を立てた。
「ヤ、ヤ、先生ですか。さっきお出かけになった先生が、どうしてこんな所に、それに、ドアには一体誰が鍵をかけたのでしょう。……先生ですか、本当に先生ですか」
彼は狐にでもつままれた様な顔をして、胡散らしく三笠氏を見上げ見おろすのだ。
「馬鹿め」老探偵はいきなり呶鳴りつけた。「貴様の目はどこに着いているのだ。わしの顔を忘れたのか。さっき出て行った奴が本当のわしで、このわしが偽物だとでも云うのか」