轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
手の平がピッタリ密着して、相手が力を加える度に、油汗にヌラヌラと辷るいやらしさ。
「お父さま、あたし何だか気分が……」
そうでもすれば手を離すかと、隣の父に声をかけたが、これはまあ、どうしたことだ。操一氏は葉巻を落して、ポカンと口をあいて、いぎたなく眠りこけていたではないか。
「お父さま、お父さま」
いくら揺り動かしても、何の反応もない。だらしなく開いた唇から涎さえ流れている。お父さまのこんな寝相はあとにも先にも見たことがない。オオ、これは決してあたり前の眠りではないのだ。
「お父さま、お父さまってば」
珠子はもう泣き声になって、父に取り縋った。
「お嬢さん駄目だ駄目だ、いくら揺ぶったって、お父つぁんは起きやしない」
老探偵が、突然若々しい声になって、ならず者のような口を利いた。
珠子はハッとして、三笠氏の髯むじゃの顔を凝視した。髯の中から、厚ぼったい唇がニヤニヤ笑っている。
「なぜです。お父さまはなぜ起きないのです。あなたがどうかなすったのですか」
「お父つぁん、余り葉巻を召し上ったもんだから、こんなになっちまったのさ。ハハハ……」
偽探偵が毒々しく云い放った。