轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
お嬢さんにあんよをして頂くんだ。……お嬢さん、サアお歩きなさい。今に面白いものを見せて上げますぜ」
偽探偵が案内する様に先に立って、暗い建物の入口へと近づいて行った。
すると、珠子の足を持った小柄の運転助手が、手を離し、がっしりした大男の運転手が、異様に物やさしく彼女を立上がらせてくれた。なぜだろう。こいつまでが、彼女に野心を抱いていたのかしら。それとも……。
だが何を考える隙もなく、偽探偵の悪魔の手が、闇の中にニュッと伸びて、やっと立上った珠子の手首を、しっかり掴むと、どこに用意していたのか、サッと懐中電燈を照らして、二人の部下の方にさし向けながら、命令した。
「お前は入口の見張番だ。いいか、変な気配がしたら、例の合図を忘れるんじゃねえぞ。それから、自動車の中でお寝みになっているお方も、よく気をつけているんだ。まだまだ容易に目を覚しやしめえけれど」
懐中電燈の狭い光がチロチロと動く中を、背の高い方の部下が、指図に従って外へ出て行くのが見えた。その大男は古びた背広の襟を立てて口辺を隠し、鳥打帽を思い切り深く冠って両眼までも隠す様にしていたので、咄嗟の場合、動揺する懐中電燈の光では、顔なぞ全く分らなかった。