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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页
丑之助は、自分が罪でも犯したように、
「堪忍してくんなされ。済まねえことをしたで」
と、一人一人へ、謝ってばかりいる。
そして直ぐにまた、
「おっ母が案じるで、おら、荒木村へもう帰りてえ」
と、いい出したが、
「ばかを申せ。今から帰ったらまた途中で、月ヶ瀬の牢人どもに捕えられ、生命はないぞ」
と、助九郎にも叱られ、侍たちにも、
「今夜は、御城内に泊めてやるから、明日帰れ、明日帰れ」
と、いわれて、小者と共に、外曲輪の薪倉の方へ、追いやられた。
一室では、柳生兵庫が、江戸表からの便りをお通に示して、
「どう召さるか」
と、彼女の胸を問うている。
やがて四月の頃ともなれば、叔父の宗矩が、賜暇を得て、江戸表から帰国する。その折を待って叔父と共に江戸へ下るか――それとも、直ぐにも一人で立つ考えか。
そう訊ねるのだった。
沢庵の便りと聞くからにその墨の香さえ彼女にはなつかしい。
ましてや、その消息によれば、武蔵は近く幕府に仕え、一戸を江戸に構えることになろうとある。
巡り会えぬ幾年よりも、そう便りの知れたからには、一日も千秋の思いである。どうして、四月まで待てよう。