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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页
その場所は、紅葉山下の西の丸裏御門の内にある、樹齢数百年という巨きな槐の木の下とし、そこに、鉄砲も火縄も、併せて隠しておくから、掘り起して、密かに狙え――ともいった。
もちろん、作事場の監視は厳密にちがいない。奉行、目附などの警戒も元よりであろうが、秀忠将軍は若くて闊達だ。よく侍側を従えて普請場へも現れるという。そんな折、飛び道具なら瞬間で目的を果すことができよう。
咄嗟の騒ぎに乗じてすぐ火を放ち、西の丸の外濠へ飛びこめば、そこにはわれわれの仲間が救いの手を伸ばしているから、屹度助け出してやる――
ぽかん、と天井を見ながら又八は、大蔵から囁かれた声を、頭の中で繰返していた。
肌がそそけ立ってくる。
あわてて、跳ね起きて、
「そうだ、とんでもないこった。今のうちに断って来よう!」
と、気がついたが――また、あの時、大蔵から、
(――こう話したからには、もしお前さんが、嫌だといえば、気の毒だが、おれの仲間が三日のうちに、きっと寝首をもらいにゆくぜ)
と、いわれたのが、その時の凄い眼つきと共に、そこらに見えて来る気がした。
四
西久保の辻を、高輪街道の方へ曲って、もう夜半の海が、横丁の突き当りに見えている四つ角。