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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「寺田寅彦の追想」後書、実験室の思い出、墨流しの物理的研究、墨並びに硯の物理学的研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 页
墨流しの物理的研究
寺田寅彦先生は晩年理化学研究所で、墨流しの研究に着手された。その研究の進行につれて、東洋に於て古代から使われている墨は、膠質学(1)上より見ても、非常に複雑で興味深い問題であることが分かり、この研究は「墨汁の膠質的研究」となって、先生の逝去の直前まで数年間続けられていた。その結果の前半は、既に理研欧文報告第二十三巻及び二十七巻にそれぞれ、
Experimental studies on Colloid nature of Chinese black ink. Part ※(ローマ数字1、1-13-21) and ※(ローマ数字2、1-13-22).
として発表され、またその続きは帝国学士院記事第十一巻に、
Cataphoresis of Chinese ink in water containing deuterium oxide.
として発表されている。学士院の方は重水(2)で墨を磨った時の性質を調べられたものである。その後の研究は、講演会で発表されただけで、材料は揃っているが、論文としてまとめられてはいない。この小論では、以上三つの既刊の論文の中から、墨流しに関係する部分を紹介することにする。